GATABUTSU

ぬっとあった幸福地蔵

投稿日 2014年8月10日 日曜日

コメント コメント(0)

カテゴリ佐渡の仏像

タグ | | |

幸福地蔵

2014年6月。
愛車ごとフェリーに乗り込み家族全員で佐渡を目指しました。奇祭 つぶろさし を観るためです。奇祭 つぶろさし は、毎年6月15日に佐渡の羽茂(はもち)地区でおこなわれるお祭り。その昔、みうらじゅん氏の「とんまつり」を読んで以来、いつかこの目で見てやろうと思っていました。
今年はその6月15日が見事に日曜日にあたり、家族旅行は佐渡に決定です。

夕方4時ごろ新潟港発のフェリーに乗り込みます。車ごと佐渡に渡るのは初めてで、不安でしょうがありません。不安でしょうがなく、事前にネットで念入りに調べ、友人に聴きこみ、乗り方やその所作を調べたのですがそれでもよくわかりません。よくわからないまま発着場に到着し、よくわからないままフェリーの腹の中に吸い込まれました。

立体駐車場みたいになってるかと思いきや、違う。隙間を埋めるように停めるだけだった。

根が几帳面なものですから、フェリーの腹の中は四角四面に区切られていて蜂の巣のように車が収まるものだと思っていました。そうでなくとも駐車場よろしく白線で区切っていてほしかった。フェリーの腹はあくまでもアバウト。誘導員の身体全体を使ったジェスチャーに導かれ、我が車で隙間を埋めたものの、いつ降りてよいのかもよくわかりません。キョロキョロと挙動不審全開で周囲の様子を伺いながらの乗船となりました。

とんまつりJAPAN―日本全国とんまな祭りガイド (集英社文庫)
思わず「どーかしてるよ!?」とツッコミたくなる、全国各地のとんまな祭り=とんまつりを巡った、みうらじゅんの爆笑日本紀行。他の著書と同様”とんま”とか言ってるけど、MJの場合にはそこに愛がある。つぶろさしも単純に爆笑で片付けられず、ロックを感じる祭りである。

案内看板

宿は羽茂に近い小木。古い町並みで最近脚光を浴びている宿根木にもすぐ近くです。というか住所的には宿根木。
宿に着いたころにはあたりは真っ暗だったものの、元々到着は遅くなるとわかっていたので、この日は飯を食べて寝るだけと割りきり就寝。そして翌朝。

一寸でもこの宿に滞在した気分を満喫してやろうと、早起きして散歩にでかけました。天気もよく清々しい朝です。
宿根木集落へ向かう道沿いに看板を見つけました。「しあわせじぞう」と書いてあり、傍らには石造りのお堂があります。

フェイント地蔵

今回の旅は行程的に仏像成分を入れる余裕が無いとハナから仏像は諦めていたので、路傍の地蔵でもラッキーじゃんと写真を撮りに近づいてうわっ。

遠景

泊まっていた宿の後ろから、デカイ奴がぬっとこちらを見てました。

予想外。それ故に恐怖。暗かった故に朝の不意打ち。

気を落ち着けるために何食わぬ顔で宿に戻り、朝飯を食い、家族を引き連れて改めて巨大地蔵の元に向かう。本来優しいはずの地蔵は、そのロケーションによって妙に恐怖感を醸し出す。山門をくぐると、倒れかかっている地蔵、薄暗く巨大な桶のようなもの中に祀られている地蔵。
茂みの向こうに何かが、と思って除くと中途半端にでかい石造りの大黒さんがいてうわっ。祠には性器をかたどった像と色あせたダルマ。廃墟の様相。無邪気な息子。恐怖このうえなく、実は廃墟とか怖いから嫌い。

廃墟的雰囲気を醸し出す

桶の中

木陰に見える大黒さんも廃墟的で怖い

大黒さん

社の中には性器の像

地蔵は像高17.5m。1983年(昭和58年)建立のコンクリ仏で、何調べかは知らぬが世界一の大きさだとか。坂原弘康氏の著書「大仏をめぐろう」によると大仏の定義は立像で約4.8m、坐像で約2.4m以上となっており少なくとも大仏は確定で、はて、であるならば世界一なのであろうかと思うところで、同著では17.5mを超える地蔵は掲載されていない。宮田珠己氏の著書「晴れた日は巨大仏を見に」では高さ40m以上の巨大仏に絞って旅をしているが、もちろんと地蔵はいなく、ならばそれを知ることに重きは置いていない私であるからしてこれ以上は調べないが、地蔵としてはそれなりに巨大な地蔵であることは間違いなさそうだ。わりと出来の良いロゴマークのシールが貼ってあった。

大仏をめぐろう
全国各地の大仏・大観音70体をカラー写真と詳細なデータで紹介。奈良・鎌倉をはじめとした歴史ある大仏から、「胎内めぐり」ができる大仏・大観音、地元住民に愛される「ご当地大仏」まで、著者が30年にわたり全国の大仏を訪問し気づいた、お寺めぐり、仏像めぐりの新しい楽しみを提案。新潟からは越後の里 親鸞聖人,弘願寺弘法大師像,白馬大仏がエントリー。
晴れた日は巨大仏を見に (幻冬舎文庫)
風景の中に、突然、ウルトラマンより大きな仏像が現れたら……日本各地に点在する巨大仏。その唐突かつマヌケな景色(マヌ景)を味わうため、牛久大仏、釜石大観音など、”四十メートル以上”の巨大仏を探しては、いたってまじめに日本を巡る。巨大仏のある風景を見ると、なぜ胸が騒ぐのか。日本風景についても論じた、爆笑紀行エッセイ。巨大仏はふいに”ぬっ”と現れる。

ロゴマークは妙に出来が良い

山門から

全体像

御前立

糸魚川の大仏に雰囲気が

だんごもある

御前立は長岡花火の三尺玉でたとえるならば、五号、七号、尺玉に相当し比較してご本尊の巨大さを引き立てている。コンクリ本尊の質感や周囲の雰囲気は糸魚川の白馬大仏によく似ており、そうするならば巨大な犬に追い掛け回された記憶が蘇り、やはり恐怖であり追い回されてうわっ。まるで無力な俺は高木ブーだ。

宿の人に伺ったところ、この地蔵をつくったかたはキノシタさんといい、まだご顕在。この地蔵のところにも度々いらしているそうだ。

恐怖恐怖と大袈裟に騒ぎ立ててきたこの文章の恐怖の極みが、この地蔵の真裏にある小さめなお堂。この狭く小さなお堂の中にお婆さんがギュウギュウになるほど入り、一晩中お経を唱えるという行事があるのだそうだ。そしてそれは今も続いている。想像してみ?恐怖だろ。匂いなんかタンスの中みたいだろうぜ。

この中におばあさんがギューギュー

宿を離れ、待望のつぶろさしへ向かいました。軽やかな菅原神社と重厚な草刈神社の演舞に、大満足のつぶろさしです。

その後、佐渡旅行の第二の目的であるのらいぬcafeに。みうらじゅんのスライドショーを観に行ったときに、友達からこの店のオーナーを紹介してもらい、それ依頼オーナーのファンになりました。新潟県民にとって同じ新潟なのに東京より遠い佐渡。ようやく店に来ることができて嬉しいです。

いい店。俺の家のようであり、俺の家でない。自分の時間軸とは平行に走っているもう一つの時間軸、そこにある俺の家のようでほぅら見ろ、ジャッキー・チェンの本とか置いてあるし、お洒落なのか雑多なのか懐かしいのか尖ってるのか、危ういロープの上に微妙なバランスを保って安定してる。嫁ハンも大喜びだ。ジョジョの奇妙な冒険のフィギュアもあるし間違いない。
のらいぬcafeのスープカレー

スープカレー。スパイスが効いていてかなり辛いけれども、深みがある。スープが辛いお陰で、焼きを入れた野菜の甘みがグ~ンと引き立って美味い。

二度目の佐渡。佐渡がますます好きになった。一度目の見仏は未だ書ききれてない。

つぶろさしの感想はいずれもう一つのブログ(フランシスコ・ムニエル)に。

2014.6.15

新潟県佐渡市宿根木

コメントを残していただけると、読者の反応の改善に役立ちます。自由にコメントしていただいて構いませんが、スパム行為や他人を貶める誹謗中傷などはご遠慮ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

Loading
  • カテゴリー

  • 最近の投稿

  • おすすめ

    • 見仏記〈2〉仏友篇 (角川文庫)
    • いとう せいこう, みうら じゅん
    Image of 見仏記〈2〉仏友篇 (角川文庫)

    仏像鑑賞本の定番、みうらじゅん氏といとうせいこう氏の見仏記第二弾です。
    当たり前だけど、仏像って宗教に密接に関わってるし、お作法とかも難しそうで敷居が高そう...と思っている人は、是非、この本を読んでみてください。そしてこの二人の、一見ふざけた仏像鑑賞の旅の裏に流れている仏像への愛がわかるようになったら、仏像を「見る」と言うことにも抵抗がなくなるかもしれません。

    新潟のお寺からは、宝伝寺、明静院、西照寺、長安寺、長谷寺、国分寺、昭和殿、慶宮寺がエントリーしています。

    • へんな仏像
    • 本田 不二雄
    Image of へんな仏像

    「頭の中でどうにも収まりのつかないものとの出逢いは、困惑をもたらすものでしかないが、同時に、沸き立つような好奇心を刺激する存在である。」(まえがきより)

    私が仏像にハマったキッカケとも言える感情を、まえがきの一文で見事に表現しています。
    本書は、日本全国にちらばる異形の仏像・神像を中心に約60体を紹介。仏像を求めてあちこちに出かけていくと、時折、理屈ではわからないおかしな仏像に出会うことがあります。そんなとき思う。「これは何を意味しているんだ?どうしてここにいるんだ?」と。不思議なものがそこにあり、そしてそれを長い年月の間、受け継いできた人々がいる。その時代の流れに少し触れられることが楽しい。そんな見仏のモチベーションを掻き立ててくれる写真が沢山掲載されています。

    新潟からは加茂市双璧寺の元三大師坐像と、栃尾のほだれ大神がエントリー。
    「国宝・重文の仏像に言葉はいらないが、異相の神仏像には理由がある。」(あとがきより)

    • 晴れた日は巨大仏を見に (幻冬舎文庫)
    • 宮田 珠己
    Image of 晴れた日は巨大仏を見に (幻冬舎文庫)

    全国の大仏がある風景を全力で脱力しながら見て回るエッセイ。
    一見脱力していながらも、練られた構成と鋭い視点で綴られた旅の話は、仏像好きではなくとも楽しめます。

    新潟からは、越後の里の親鸞聖人大立像と、弘願寺の屋上に立つ弘法大師像が登場。どちらも不意にぬっと現れる新潟屈指の大仏です。

    • 見仏記4 親孝行篇 (角川文庫)
    • みうら じゅん, いとう せいこう
    Image of 見仏記4 親孝行篇 (角川文庫)

    みうらじゅん氏といとうせいこう氏の見仏記第四弾です。
    今度は、親孝行編ということでそれぞれのご両親を連れた親子見仏の旅。新潟は海も山もあるし、ご飯も魚もお酒も美味しいし、温泉も沢山あるし東京からもアクセス良いし、親孝行にはもってこいの県ですな。

    新潟のお寺からは、観音寺、善行寺、西生寺、国上寺、浦佐毘沙門堂、西福寺、円福寺がエントリー。日本最古と最新の即身仏や、あまり仏像形式では見ることの出来ない浦佐毘沙門堂の常瞿梨童女(じょうぐりどうにょ)に両氏が出会ったエピソードなども綴られています。

    • 般若心経絵本
    • 諸橋 精光
    Image of 般若心経絵本

    絵本作家でもある長岡市にある千蔵院のご住職、諸橋精光氏の著書。
    タイトルのとおり般若心経を概念を絵本の世界で表していて読みやすく、その世界観をうまく表しているという実感があります。絵を見ながら般若心経の文字を読んでいるとスッと心が落ち着く瞬間があり、何度も読み直しました。

  • 書いている人

    1

    やまざき ふみひろ

    フリーランス仏像愛好家。仏像についてひとことも喋らなくても、誰も困らないくらいのフリーランス。ライフスタイルとしての仏教好き。
    Twitter IDは[ @gatabutsu ]。新潟の仏像話を中心につぶやき中。
    Facebookでは、記事にする前のメモ書きや、美術館・博物館などもうちょい広い話題でやってます。

    mail
  • Meta

  • Facebook

  • ガタブツ