ころばすの観音ご開帳
毎年7月10日は新潟市西堀の瑞光寺でころばすの観音のご開帳があります。
昨年、たまたま用事があって新潟市に出かけた際、せっかくだから付近を散策しようと訪ねたことがあるお寺です。
その際、ころばずの観音の存在を知りご住職にお話を伺ったところ、「ご開帳は昨日だったんです」と...
13時からのご開帳に、少し遅れて到着。既にご祈祷が始まっていました。
遠目でよくわからないけど、ころばずの観音…古い…細身、朽ちてる。例によってざっくりとしか事前情報を調べていないので、早く近くに行くことはできないものかとドキドキします。
しばらくすると、『お砂踏み大般若祈祷』が始まりました。
お砂踏みとは、四国の各霊場より聖地のお砂を頂戴して、それを踏みながら参拝をすることによって、遠く離れた地に居ながら、四国の霊場を巡拝したのと同じ功徳を積めるようにと発願されたもののようです。
靴下抜いで、厨子のまわりをぐるっと一周、チリチリチリンと鐘が鳴りつづける中でのお砂踏みです。
...護摩とは違った感じのトランス入ります。いや、これマジすごいっすよ。ほんとになんだかもー、これから俺死んじゃってそのまま天国逝っちゃうんじゃないかってゆーくらいのトリップ感です。仏様に向かってみんな静かに一列で並んでるし、頭の中にチリンチリンが反響し続けてるし。
寺宝の不転観世音菩薩像(ころばずの観音)は、欅(ケヤキ)の一木造で像高154センチ。新潟県文化財指定第一号だそうです。
細身でいい腰のくびれ。木目がはっきりとしていて、両腕とつま先が破損しています。
昨年はご開帳に一日遅れで伺ったこのお寺。ころばずの観音の名前の由来などを伺おうと、ご住職に声をかけたところ、ご住職も昨年のことを覚えてくださっていた。少し恥ずかしい。
名前の由来ということで、ご祈祷のときに読んだ略縁起のコピーいただいたんだけど…む、難しい!
ざっくりと(インターネッツスキルを発揮して)調べてみたところ、
不転観世音菩薩像は平安時代の957年に奥州(おうしゅう)で作られたと伝えられています。
奥州藤原氏の3代目藤原秀衡(ひでひら)からその子忠衡(ただひら)がもらい受け、後宮城県築館町双林寺の木造薬師如来坐像(国指定重要文化財)の脇侍として安置されてたものが、後年こちらのお寺に伝わったもののよう。双林寺の薬師如来は天徳二年(958)の年記を持つ標札があり、作風が酷似していることから、この不転観世音菩薩像も同じ時代に作られたものと判断されているようです。
戦乱の世では、この像を倒して転ぶか転ばないかで戦いの吉凶を占ったとされていて、左手首、右手の肘から先と足先がなく、武将の身代わりとしても祀られていたらしい。観音様が体の一部を失ったために、武将が怪我をせずに済んだと言われたとか。
この像を拝むと、「現世安穏」「長寿」など五つの願いがかなうと言われています。
また、瑞光寺は、新潟市の名誉市民「会津八一」の菩提寺としても知られていて、現在は本堂前のお墓と共に、会津家の仏壇も本堂内に安置されています。
流石に今の時代では転ばされたり、身代わりになることもないかな。
観音様自身も安心したような顔で、僕らを見守ってくれているようでした。
2011.7.10
瑞光寺(ずいこうじ)
仏像 | 木造 菩薩立像『不転観世音菩薩像(ころばすの観音)』(県指定文化財) |
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場所 | 新潟県新潟市西堀通3番町797 |
問い合わせ先 | 瑞光寺 (TEL:025-229-4336) |
拝観時間 | ご開帳の日は午後12時からお斎(おとき)が始まり、ご開帳は13時から2時間ほど |
拝観期間 | 毎年7月10日のみの御開帳 |
拝観料 | 寸志 |
公式サイト | なし |
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