二度の火災を乗り越えた阿弥陀様
三条市の乗蓮寺に行ってきました。
最近はふたりでお寺を回ることの多い1歳の息子も、まだまだ知らないところでは怖いらしく、奥様が出迎えてくれたお寺の玄関で泣き出してしまいました。
本堂に案内してもらい、手をあわせようとしたら「そこじゃよく見えないでしょうから」と、内陣まで入れていただく。泣き続けていた息子も、ご本尊の前に来てようやく泣きやみました。
ご本尊は国指定重文の阿弥陀様。内陣内にある立派な土蔵の中に、祀られています。
現在では、全体が黒ずんでいますが、漆箔の金泥づくり。
彫りの深い複雑な衣文線や、やさしい整った感じから、宋の影響を受けた鎌倉時代末期の作といわれています。
像高は78センチで踏割蓮華座に立ち、上品下生の印相。檜材の寄せ木造りで、肉髻珠、玉眼は水晶で作られたものを嵌入されているそうです。
光背と台座は後世のもの。
その昔、この三条市一帯が焼ける大火事があり、このお寺も焼失してしまったのだが、その際に火がでていないところから檀家さんが駆けつけてくれ、なんとかこのご本尊だけは火の手を免れたとのこと。なので、脇侍も後世のもの。
調べたところ、明治13年に糸屋万平火事という大火事があったようです。
三条町上町(現・本町一丁目)の米屋から出火、三条町2,010戸のうち約98%(1,961戸)をはじめ、2,743戸を焼失、焼死者34名を出す大火事だった模様。
火事のあとから土蔵内に祀られるようになったそうです。
奥様に写真を撮っていいか確認し写真撮らせていただいたのですが、奥様曰く「おそらく綺麗には撮影できないと思いますよ」と。
はい、たしかに私の安いカメラ+iPhoneでは案の定、この仏像の美しさをとらえきることはできませんでした><
しかし、(恐らく)プロのカメラマンが撮影したであろう、市のWebサイトを見てもこの美しさを表現しきれていないように見えました。なんででしょう?
とにかくこの阿弥陀様は、写真と実物でうける印象が全然違うのです。とくに指が細くて綺麗でなおかつ優雅。まるで女優さんのようだなと思いました。
この指も実は後年に作り直されたもののようです。
奥様のお話では、文化財指定される際に県内の仏像は、胎内市の乙宝寺に集められて修復されたそうなのですが、その際に折れていた指も修復されたとのこと。
実は、この乙宝寺から阿弥陀様が戻ってきたあとに、今度は乙宝寺が火事になってしまったらしい。
この阿弥陀様は2回、火事を逃れているわけなんですね。
乙宝寺のこの火事は、昭和12年の出来事。この火災では、乙宝寺に祀られていた旧国宝の木造大日如来坐像、木造阿弥陀如来坐像、木造薬師如来坐像が焼失してしまったそうです。
脇侍は観音様と勢至菩薩。
この脇侍がまた素敵です。
ジョジョの二部でいうところのシーザーの猫足立ちを彷彿させる構え。
膝を軽く折り、全方位からの攻撃に対して瞬時に対応できるようにしたその様は、「ワムウいつでもこいやっ!」的な臨戦態勢で、素敵でもあり可愛らしくもありました。
あくまでイメージイメージ。
この乗蓮寺は、もともとは別のところにあった(三条城があったところの近く?)らしいのですがが、江戸時代の五十嵐川改修の際にこちらに移ってきたそうです。その際に仏師春日作の仏様が勧請された(*かんじょう:持ってこられた)という記録が残っているそうなので、元々はどこかの国分寺にあった仏様をこちらに持ってきたのではないかとのこと。
帰り際、奥様と文化財うんぬんの話をしたら、重要文化財といっても実際のことろは個人の管理にまかされている。割り当てられている予算なども非常に少なく、なかなか修理や保全などもできないと嘆いておられました。
2011.03.06
乗蓮寺(じょうれんじ)
仏像 | 木造阿弥陀如来立像(国指定重要文化財) |
---|---|
場所 | 新潟県三条市東裏館1-14-3 |
問い合わせ先 | 三条市 市民部 生涯学習課 文化財係 (TEL:0256-34-5511 内線245) |
拝観時間 | 要連絡 |
拝観期間 | 要連絡 |
拝観料 | 寸志 |
公式サイト | なし |
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