仏像修復師泣く俺も泣く -寛益寺講演会-
逆谷の寛益寺へ、寅年開帳の記念講演会を聞きに行ってきました。
テーマは、「寛益寺の文化財」というもので、東京芸大名誉教授の水野敬三郎さんによる「秘仏薬師如来と十二神将を中心に」と、トーア株式会社製造次長の齋藤正彦さんによる「寛益寺の文化財の修理・復元から」という二つの内容で構成。
講演は50年ぶりに再建された本堂でおこなわれ、その本堂は200名近くの聴講者で埋まりました。
寛益寺の本堂はもともとは今よりも遙かに大きかったそうなのですが、50年まえの集中豪雨による土砂崩れで流されてしまったとのこと。今回の修復では、そのときに泥の中から掘り出した柱や木鼻などの部材をできるだけ利用して修復をおこなったそうです。
再建について講演をされた齋藤氏も、「木鼻なんかはとても大きなものなんだけど、昔のは自分の家も大変だったろうに、泥の中からこういったものを掘り出してくれたんです」と、涙を流しながらお話をされていました。
講演会最後のディスカッションの中では、主催者の1人である「「旧家の薬壷」」さんが、1枚の写真を紹介してくれました。
昭和初期のころの寛益寺を写した記念写真だそうです。
この写真には、土砂崩れにあう前の本堂を中心として、ご住職のご一家らしき人達が写っているのですが、よくみるとすごく大勢の子供が写っています。
数えると、なんと27人も写っているとか。
この逆谷集落は年々人口が減ってきている地域で、子供の数も少なくなっていることは想像に難くないのですが、この写真をみると昔はこれだけ大勢の子供いたのだということがわかります。そして、お寺を中心とした地域のコミュニティができあがっていて、子供達は学校だけでなくこういったところでもいろんなことを学んでいたんだろうな...なんて考えてたら、僕も思わず涙を流していました。
私の実家周辺もお寺が沢山ある地域で、通っていた保育園も仏教系のソレでしたので、なんだか懐かしい気分になったのかもしれません。
二つの講演はどちらも興味深い内容でした。後日改めて、内容をまとめてみたいと思います。
また、寛益寺では5月9日からの3日間、寅年開帳として秘仏が公開されるのですがそれに合わせて、5月1日から5月31日までの間、古民家での美術展というイベントが開催されます。イベントについての詳細は「旧家の薬壷」さんのWebサイトでご確認ください。
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