不動と天狗と山伏と
この日は魚沼見仏。
龍谷寺を出たあと、すぐ近くの大崎院(だいきいん)へ向かいました。
iPhoneのマップに住所を打ち込み、それをたよりに向かったのですがなかなかたどり着きません。目的地付近には到着しているはずなんですが、それらしいお寺は見あたらず、車を運転しながら嫁ハンと「やべー、なんかのワールドに迷いこんだ。てか、何ワールド?ザ・ワールド?」「なるほど」とか、自分の人生よろしく道に迷う始末です。いろいろと冴えません。
一向に見つからなかったのもそのはず、大崎院さんは一見すると普通の民家と間違えてしまうような佇まい。
この日の天気は霧、ときどき小雨といった模様。嫁ハンは車の中で待っているというので、息子と二人でテクテクと歩いて大崎院さんにお邪魔しました。
こちらには木喰88歳作の3体の仏像があります。左から吉祥天、不動明王、大黒天。不動さんは木喰自身が木食戒を受けるまで厳しい修行時代を過ごしたとされる大山の字を冠し「大山不動尊」と呼ばれています。
前述のようにこの日は霧と小雨で薄暗い一日。ご住職は仏間の電灯はつけずに、不動さんを手持ちのスポットライトで下から照らしあげてくれました。なんという俺好みな演出。
薄暗い部屋の中で下から強烈なスポットライトで照らし出される不動さんは、迫力5割り増しの様相でこちらに迫ってきます。邪悪な心や煩悩を焼き浄めよと言わんばかり。
木喰不動は始めてお目にかかったのですが、火焔光背が絶妙ですね。一般的な不動さんの光背は、小さな炎が沢山集まりメラメラと燃えさかっているような感じだと思うのですが、木喰さんの火焔光背は非常にシンプルで、二つの炎がゴォーーーーーッと立ち上っています。前者をメラメラゴーと呼ぶならば、木喰不動はゴーッゴーッっと。あんま文字づら変わらん...いや、なんというかこのシンプルな曲線で表現された二つの炎が、天に昇っている感じが好みなのですよ。
斉の神の炎を見ているようです。
ふと、先日、同じ子育て世代のパパさんとこんな話しをしたのを思い出しました。
「今の子供って、お寺の境内とかで遊ばないじゃん。悪いことしたら地獄に堕ちるとか、教えられないじゃん。よくないよね。地獄教えたほうがいいよ。ウチの子供なんか、悪いことしたときに地獄絵図見せると、泣きながらいい子になるもん。」
そうそう。地獄とかね、神様仏様の存在はね、ある程度子供ときから教えないとね。空の上から誰か見てる...って意識は大事だよね。
なーんて思っていたところで気づきました。
あ!やべっ。息子の存在忘れてた。
と、振り返ると、畳の上でおとなしく正座をしていたもうすぐ2歳になる息子。そうか、そうか。お前もお不動さんの前では、いい子にしなくちゃ...って思ったのか。少し前までは、お寺に連れてくると怖くて泣いていたのに、立派になったもんだ。
ていうか、夢中になりすぎてゴメン^^
頂いた名刺によるとこちらの宗派は本山修験宗。修験者の守り本尊である不動さんとともに、気になるものがひとつありました。
欄間で睨みを利かせている大勢の天狗様。お知り合いの方に、「お前山伏だから持っていけ」と、沢山渡されたとのことです。
霊峰八海山には、まだまだ天狗が住んでいるかも知れませんね。
まだまだ雪の多い魚沼でしたが、トミオカホワイト美術館では一足早い桜が散っていました。
2011.04.09
大崎院
仏像 | 木喰作 吉祥天、不動明王、大黒天 |
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場所 | 南魚沼市 大崎4347 |
問い合わせ先 | 大崎院 (TEL:025-779-2944) |
拝観時間 | 要事前連絡 |
拝観期間 | 通年(要事前連絡) |
拝観料 | 寸志 |
公式サイト | なし |
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