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インド、ハワイ、魚沼、龍谷寺

投稿日 2011年4月16日 土曜日

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カテゴリ中越地区の仏像

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八海山に雪が残っているウチに、トミオカホワイト美術館に行きたいということで魚沼へ。

この日の魚沼地方はスゴイ霧でした。
晴れ渡る青空に雪の残った八海山という景色を見たかったんだけども、はからずともその霧のかかったモノクロの山々が、まさにトミオカホワイトの世界を表していた。

付近のお寺を調べていたら見つけたのが龍谷寺。
石川雲蝶の欄間や開運観音と呼ばれる観音様、はてはハワイから寄贈された観音様までがいらっしゃるとのことで、なにやら楽しそうです。

約束していた時間より少々早めに到着し、玄関にてご挨拶をすると、観音堂から入ってくださいとのこと。

観音堂はインドグプタ王朝の様式を取り入れた、独特の雰囲気。結構珍しいデザインだとは思うのですが、僕が昔通っていた保育園(真宗大谷派高田別院の保育園)によく似た雰囲気で、どことなく懐かしさを感じました。

ノコノコと春的な薄着で乗り込んできた私は、ふるえながら雪壁を通って観音堂に入ります。

中には開運観音が。観音様は、手のひらを正面に向けている状態で錫杖を持っていました。

握っていないのに、まっすぐに立つ錫杖。

覚りを得た仏陀には、三十二相とよぶ尊い外見的特徴がそなわっているとされます。
この摩訶不思議な錫杖もその一つでしょうか?
それとも、これこそがインドグプタ式開運パワーなのでしょうか?
開運スポットにて悩みがひとつ増えてしまうとは、なんたる不運な僕。でも、これがわかったときにこそ、真の開運パワーが得られると信じて先に進みます。

開運系のスポットではお賽銭の置かれ方をチェックします。
鎌倉長谷寺の弁天窟では、奉納弁財天が石造りの弁財天を埋め尽くすように置かれていました。南魚沼の雲洞庵では、ハニワの前に整然と並べられるお賽銭を見ました。
こちらでは、仁王様の首飾りの上に、うまくバランスをとってお賽銭が置かれています。

開運・福徳を得られる場所では、より仏様に目立つようにお賽銭を置くことで、いっそうの御利益をうけようとする人間の心理を垣間見ることができます。

予定時間より早く訪問してしまったためか、ご住職は不在で、放置プレーのフリースタイル参拝となりました。
こちらのお寺、本堂の石川雲蝶の欄間が有名。
永林寺の天女では、背中の柔らかさで既婚と未婚の女性を彫り分けていたそうですが、こちらではその柔らかな彫りを、草木にいかんなく発揮しています。雲蝶の彫った欄間と他のものを比べると、その差は歴然。柔らかくふんわりと彫られた草木は、風が吹いたらそよぐ音が聞こえてくるのではないかと思えるようなものでした。

開山堂・羅漢堂の前には弁財天らしき仏像が。年代も由来もわからない仏像ですが、そのミニチュア・箱庭的様相は私好みで、しばらくの間じっとその姿を眺めていました。

そして、本堂の奧には鈴木恂氏設計の妙光堂。
説明書きには、「明治後期大正の時代に竹内勝山により謹刻された百二十余体の仏像を泰安するお堂」とあります。

お堂に入って、私は思わずニヤケてしまいました。コンクリート製のモダンなお堂の中は間接照明で照らされており、沢山の仏像がずらーっっと並んでいます。
どうやら檀家さんが施主となって、自分のお気に入りの仏像を作り、それを安置している場所のようです。
興福寺の阿修羅を模したものや、雲中供養菩薩などメジャー仏が沢山あるなかで、僕はこの仏像にこころを奪われてしまいました。

ハイスクール奇面組の二頭身的に縮んだやつを模した仏像なのでしょうか。アンバランスなまでに大きめな頭をちょっと横にかしげ、ボーイスカウト的なスカーフを巻き、髪型は南部虎弾。
きっと奇面フラッシュとともに光背が浮かび上がり、この仏像本来の姿が完成されるのではと思いました。

帰り際、おばあさんにハワイから寄贈された観音様のことを尋ねたところ、現在はこちらのお寺から魚野川を隔てた別のお寺に祀られているとのこと。
インドグプタ様式の観音堂から始まり、雲蝶の欄間が見事な本堂、そしてコンクリート打ちっ放しな現代建築の妙光堂と、いろいろな顔を見ることができた龍谷寺でした。

2011.04.09

龍谷寺

仏像 十一面観音像、弁財天など
場所 南魚沼市 大崎
問い合わせ先 龍谷寺 (TEL:025-779-2020)
拝観時間 9時~16時
拝観期間 無休(寺の行事の時以外)
拝観料 200円
公式サイト なし

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“インド、ハワイ、魚沼、龍谷寺” への1件のコメント

  1. 匿名 より:

    龍谷寺の山門から本堂に至る僅かな参道には杉の大木が沢山あったが、伊勢湾台風でほとんど倒れ、面影は本堂裏に何本か見られます。

    当時、駒形禅宗の粋な計いで8月になると子供を対象に、おせがきという企画でお経を読んだそうです。

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