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法幢寺 酒呑地蔵ご開帳

投稿日 2014年6月01日 日曜日

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カテゴリ下越地区の仏像, 秘仏

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お地蔵さんが見えてきた

現代人は事前に調べすぎであるために、出会い頭の楽しみを失っていると思います。事前に調べすぎなのです。それを今日は文字を大きくして言いたい。
去る3月21日の春分の日、新潟市小杉にある法幢寺へ、酒呑地蔵尊の御開帳に行ってきました。

私ぐらいになると、4年も前からこのご開帳について調べています。4年も前からこのご開帳について調べていたので、なんとその間に3つものWebサイトを見つけました。決して怠けていたわけではありません。その証拠を探そうと自分のTwitterでの発言をログで調べてみたところ、毎年、ご開帳の日を数日過ぎてから「あぁ酒呑地蔵のご開帳終わってたわぁ。まぁなかなか休みのタイミング合わないから、次の機会に行ってみたいわぁ」などと非常に前向きな発言をしていました。
今回伺うにあたって事前に調べたところ、この酒呑地蔵は毎年春分の日にご開帳で、4年以上前から毎年春分の日は国民的に休みだったということがわかりました。

春彼岸のご開帳でござる

さて、事前にインターネットで調べたところ、ご開帳のスケジュールは次のようになっているようです。

酒呑地蔵尊御開帳

毎年春分の日に開催 (午前8:30頃~午後8:00頃)

  • 午後 12:00 お斉
  • 午後 03:00 読経
  • 午後 02:00 だんごまき

この地域では午後3時の次に午後2時が来る。いささか不思議な世界ですが、だんごまきの少し前に到着したところ急激な腹痛に見まわれ、トイレをお借りできる施設を探して右往左往した結果、最終的にはギリギリの時間に本堂にあがりました。胃腸が弱く、不慮の事故に供え新潟のロードサイドのパチンコ屋は、すべて位置を把握している私なのですが、このお寺の周辺はパチンコ屋どころかコンビニもなく、トイレは我慢です。

酒が供えられ

私ぐらいになるとお寺に伺う前からブログのアウトラインは完成していますので、あとは事前に調べた内容にそって行動するのみ。酒呑地蔵の縁起は次のようなものです。

法幢寺は、吉祥寺(五泉市橋田)の末寺で、天正17年(1589)に五泉市四ツ屋から移転して開山されたと言われています。この地を訪れた門吉和尚が夢のお告げを聞き、阿賀野川で光る錫杖を見つけました。そこを掘ったところお地蔵さんが埋まっており、その地蔵を本尊としてその地に法幢寺を建てました。

ある年の秋、お寺の近くの酒屋さんに、徳利を持った小僧さんが毎日のようにお酒を買いに来るようになりました。ところが困った事に、小僧さんはいつもいつもお金を持って来こなかったのです。

最初の内は大目に見ていた酒屋の主人も、どんどんツケが溜まってくると、ガマンも限界。ある日とうとう怒ってしまい、追い返そうとナタを小僧さんに投げつけてしまいました。飛んでいったナタは運悪く小僧さんの右足の踵に当たり、切れた所から血が流れてきました。酒屋の主人は、とんでもない事をしてしまったと、小僧さんの顔を覗きこんだのですが、痛そうにするでも無く何故か平気な顔。足から血が流れているのに、何事も無かったように、いつものように酒を買い、今来た道を帰って行くのではありませんか。不思議に思った酒屋の主人は、血の跡を辿り小僧さんの後をつけて行きました。

道を辿り法幢寺まで来ると、血の跡は境内へと曲がっています。そして跡は真っ直ぐ本堂まで続いているのです。

本堂に上がって見ると、畳の上にお地蔵様の所まで血の跡が続いています。不思議に思いながらお地蔵様に近付きよく見てみると、右足の踵が切れていたそうです。

それからと言うもの、このお地蔵様は「酒呑地蔵」と呼ばれるようになりました。そして捧げたお酒をいただいて来ると、造り酒屋の井戸の水が美味しくなったり、味噌の味を良くしたりと言うご利益があるようになりました。

ツケも払わずに酒を飲むとはふてぇお地蔵さんでありますし、ナタを投げる酒屋のご主人も全くもって乱暴である。血がドバドバとはスプラッターでありますし、踵が切れていたところで話が終わっているなど救いようがない。オチはないのですか。子供も沢山聞いているのにそれでよいのですか。

と、予めすべてブログに書いておいたのですが、子供に混じってお話を聴いていましたならば奥様が子どもたちに向けて、見事にフォローをされていました。
「お地蔵さんはお金を払わないでお酒を飲んで、悪い人だねぇ。でもね、これは仏教でいうところの布施心(ふせしん)という教えのお話なんだよぉ。自分の持ってるものを手放すことで幸せになれるって教えてくれてるんだよぉ」
と。(うろおぼえ意訳)

仏教では執着がキーワードです。自分のお店のお酒という「わがもの」への執着を捨て去ることで、とらわれのないさとりの境地にたどり着くことができる。そんな教えなのでしょうが、純粋な心を失ってしまったおっさんは「別に悪いことしたわけじゃないのに、酒屋のご主人はタダでお酒を振る舞わねばならんのか。経営にも影響出るだろうし、大変だなあ。いやまて、預けた酒が美味くなるんなら契約次第では強烈な差別化戦略をとれるな」などと思ってしまいます。

昔話や伝説、絵本の中には純粋な子供にしか読み取れない何かがあり、そういった意味では子供のほうがさとりに近いのかもしれないですね。

そういえば、子供のころに保育園で読んでいた「三匹のくま」という絵本を本屋で見かけ、息子にも読ませてあげようと「おお、これは名著」と言いながら手にとったところ、森でクマの家を見つけた女の子が不法侵入し、スープを飲むわ、椅子を壊すわ、ベッドで勝手に寝るわなどした挙句に、謝りもせずに逃げていったところで話が終わってしまい唖然とした。

地元の人でごった返してる

太鼓が打ち鳴らされ、ご開帳の儀が始まりました。本堂はご近所の方々でごった返しています。

お地蔵様は像高32cmと小柄な木像。錫杖と宝珠を持った半跏趺坐の坐像で、切られた踵が言い伝え通り欠けています。過去に二回の火災にあったようでなのですが、いずれも村人に救い出されたとのこと。その火災のせいもあって黒ずんでいるのだとか。

お地蔵さん

ふとあたりを見渡すと、皆さん何やらスーパーのビニール袋を持っています。誰もが持っています。そしてソワソワしています。

みんな袋持ってる1

みんな袋持ってる2

おお、そういえば午後三時の読経のあとは、午後二時からだんごまき。

そんな袋いっぱいだんごいらん。

とか思いながら待っていたら、だんごと共に大量のお菓子やら袋ラーメンやらが降ってきました。あまりの突然の出来事にキャッキャウフフ、ウギャーボエーと叫びながら逃げ惑い、なおかつお菓子やラーメンを拾おうとする私と息子の二人に、親切にも自分が拾ったお菓子やらをくれるご近所のおばあちゃん達。これが布施心だ。

こんな楽しい行事なら事前に調べておけばよかった。この鞄、ちっとも入らないんだ。

鞄に入りきらない

だんご

三色でまんまるのおだんご。そういえば、息子も少し前に幼稚園の涅槃会(ねはんえ)で、似たような三色のお餅をもらってきました。私が通っていた真宗大谷派の保育園では、そのような行事をやった覚えがありません。このあたり、宗派によってどのような違いがあるのでしょうか。

車を少し走らせれば新潟空港まで行けそうだったので、行ってみました。年頃の男の子のご多分にもれず、乗り物が大好きな息子。空港に行くのは初めてです。私も新潟空港の中に入るのは10年以上ぶりでしょうか。
間近で飛び立つ飛行機を見せてやろうと、お金を払って屋外の展望エリアのようなところに出てみたところ、寒い。飛行機少ない。とにかく少ない。少ないからなかなか飛ばない。田舎の空港って、こんなに飛行機飛ばないのか。

風邪ひいた。もっと事前に調べておけばよかった。

2014.3.21

法幢寺(ほうどうじ)

仏像 地蔵菩薩(通称:酒呑地蔵)
場所 〒950-0203 新潟県新潟市江南区小杉3丁目2-30
問い合わせ先 法幢寺(TEL:025-385-3161)
拝観時間 ご開帳期間は正午ごろから檀家さんのお斎があり、午後2時少し前から一般向けのご開帳となるようです
拝観期間 毎年春分の日に酒呑地蔵ご開帳
拝観料 志納
公式サイト なし

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