GATABUTSU

モノクローム一転まだら頭

投稿日 2012年10月05日 金曜日

コメント コメント(2)

カテゴリ佐渡の仏像

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佐渡と言えば金山から連想する黄金色、そしてトビシマカンゾウの目の覚めるような黄色や、青い空に青い海。そんな鮮やかな色彩のイメージがあったのですが、訪れた日はあいにくの小雨模様で鉛色の空。
フェリー船内にはファミコンが頑張るゲームコーナー。佐渡ゴールドパークパークのトホホ感あふれるポスターや、上陸間際に目に入ってくる恐怖の能面タワーなどが鉛色感に拍車をかけ、鮮やかな色彩というよりはモノクロームな印象溢れる佐渡の旅となりました。いえ、むしろそういう空気は大好物なのですけれども。

訪れたお寺は国分寺。
元々は隣の佐渡国分寺跡に建てられていたのですが、江戸時代にこの地に再建されたそうです。宗派は真言宗。国分寺跡は現在、公園となっています。

近くには「真野鶴」の尾畑酒造があります。この酒蔵は新しい取り組みにも積極的で、そのお酒はエールフランスの機内酒にも採用されています。酒蔵見学もできるようですね。

仁王門には一対の金剛力士像。カラー写真にもかかわらずモノクロームに写るその姿はとても力強く迫力があり、その上渋さも兼ね備えています。任侠映画のポスターのようだ。

仁王門を抜けると正面には茅葺きの瑠璃堂(るりどう)。
本尊の薬師如来坐像は元々この瑠璃堂に居たのですが、現在は裏にある収蔵庫に居ます。案内していただき、収蔵庫を開けてもらいました。主がいない収蔵庫は、現在十二神将だけで守っているそうです。帰りしな、お堂の外から暗闇に目を凝らしてみましたが、その姿は確認できませんでした。
仏像好きがよくやるお堂を覗くポーズに、同行の友達は苦笑。

こちらの薬師さんは国指定重文。
2006年に県立近代美術館で開催された「新潟の仏像展」では展示会図録の表紙もつとめています。

像高約135cm。ヒノキの一木造。平安時代前期(9世紀)の作で、右手は施無畏印とし左手には薬壺。左足を上にして結跏趺坐しています。
大きさだけでなく、その胸板の厚さや腰回りの体型からも重量感のあるでっぷりとした薬師さん。

光背は無く、背面に回りこみ背中を見ることができます。広く頼り甲斐のある背中。
「新潟の仏像展」での解説によると、左胸に懸る衣の端は、本来ならば衲衣の下にくるそうなのですが、背面にまわると衲衣上部で折り返しとなっていて、そんな形状の混乱が中央を離れた地方での製作を物語っているそうです。
また、衲衣の表現などは奈良室生寺の釈迦如来座像や京都醍醐寺の薬師三尊中尊、さらにたどれば奈良時代末の木心乾漆像である奈良西大寺の釈迦如来坐像や、平安時代最初期の新薬師寺薬師如来坐像に見られるものだそうです。図像や衣文表現に奈良時代、奈良地方の伝統を引いていて、会津勝常寺の薬師三尊像と共にその地方伝播を考える上で欠くことの出来ない作例だとのこと。

螺髪(らほつ)はまだらになっていて、明るい色の部分は後補(あとから修復したもの)だそうです。見ているとだんだん針山に刺さったまち針に思えてくる。針山に隙間なくまち針を刺す遊びしたい。

佐渡の仏像全般に言えることなんですが、空気が違いますね。
田舎の仏像によく見られる独特のアンバランス感がなく、総じて「中央」っぽい。佇まいも凛としていて、のんびりとした島の雰囲気からお堂に入ると一転、背筋が伸びるような気持ちになります。頭にまち針を刺される自分を想像すると、背筋が寒くなる。

モノクロームの仁王に始まり、瑠璃堂へ続く鮮やかな緑の苔の道。薬師は、金箔の残る身体と、過去と現代の仏師の仕事が交錯するまだらの頭。
色彩を感じる見仏となりました。

2011.11.13

佐渡 国分寺(さど こくぶんじ)

仏像 木造薬師如来坐像(国指定重要文化財:平安前期)、仁王
場所 〒952-0304 新潟県国分寺113
問い合わせ先 国分寺(TEL:0259-55-2059)
拝観時間 要連絡
拝観期間 要連絡
拝観料 志納
公式サイト なし
新潟県佐渡市国分寺

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“モノクローム一転まだら頭” への2件のフィードバック

  1. 本田不二雄 より:

    おぉ、9世紀の仏像ですか。素晴らしいですね。出来も保存の具合も素晴らしい――。ちなみに、全身像は広角寄りのアングルですか? やや頭部が小さく見えるもので……。量塊感といいますか、威圧感がすごいですね。
    それにしても、佐渡は特別な印象のある土地ですね。史跡はもとより、弾誓上人の由緒地でもありますし、ぜひ機会あれば参りたいと思っています。蛇足ながら、拙著をよく読み込んでいただき、紹介していただき誠に有り難く存じます。
    また、珍しい神仏像等ありましたら、ぜひご教示賜りたく存じます。今後も精力的なルポを期待しております。

  2. gatabutsu より:

    本田様、コメントありがとうございます。著作、楽しく拝見させていただきました。
    写真のことは素人なんで詳しくはわからないんですが、広角では撮っていないと思います。ニコンのコンデジでオートで撮影しました。
    言われてみればたしかに頭部が小さく写っていますが、実物を見たときの印象では特にそのようには感じず、むしろ大きい頭に見えました。
    おっしゃるように量感のある薬師さんで、目の前にすると大きさ以上に重量を感じます。

    引き続き新潟の仏像の紹介は続けていきますので、機会がありましたらまたお立ち寄りください。

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    地方見仏に泊りで出かけた際に、あわせて山間の温泉宿に泊まったりすることもあるかと思います。最近ではホテルや旅館でも部屋でインターネットを使う事ができて便利ですよね。
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    そんなときに、このWi-Fiポケットルータをひとつ持っていくとすごく便利です。ネットワーク環境を自動で判別してルータモードとアクセスポイントモードを自動切換えできるし、無線対応していないテレビなんかを無線にできるコンバータモードも搭載しているんで、とってもお得。
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    「頭の中でどうにも収まりのつかないものとの出逢いは、困惑をもたらすものでしかないが、同時に、沸き立つような好奇心を刺激する存在である。」(まえがきより)

    私が仏像にハマったキッカケとも言える感情を、まえがきの一文で見事に表現しています。
    本書は、日本全国にちらばる異形の仏像・神像を中心に約60体を紹介。仏像を求めてあちこちに出かけていくと、時折、理屈ではわからないおかしな仏像に出会うことがあります。そんなとき思う。「これは何を意味しているんだ?どうしてここにいるんだ?」と。不思議なものがそこにあり、そしてそれを長い年月の間、受け継いできた人々がいる。その時代の流れに少し触れられることが楽しい。そんな見仏のモチベーションを掻き立ててくれる写真が沢山掲載されています。

    新潟からは加茂市双璧寺の元三大師坐像と、栃尾のほだれ大神がエントリー。
    「国宝・重文の仏像に言葉はいらないが、異相の神仏像には理由がある。」(あとがきより)

    • 見仏記4 親孝行篇 (角川文庫)
    • みうら じゅん, いとう せいこう
    Image of 見仏記4 親孝行篇 (角川文庫)

    みうらじゅん氏といとうせいこう氏の見仏記第四弾です。
    今度は、親孝行編ということでそれぞれのご両親を連れた親子見仏の旅。新潟は海も山もあるし、ご飯も魚もお酒も美味しいし、温泉も沢山あるし東京からもアクセス良いし、親孝行にはもってこいの県ですな。

    新潟のお寺からは、観音寺、善行寺、西生寺、国上寺、浦佐毘沙門堂、西福寺、円福寺がエントリー。日本最古と最新の即身仏や、あまり仏像形式では見ることの出来ない浦佐毘沙門堂の常瞿梨童女(じょうぐりどうにょ)に両氏が出会ったエピソードなども綴られています。

  • 書いている人

    1

    やまざき ふみひろ

    フリーランス仏像愛好家。仏像についてひとことも喋らなくても、誰も困らないくらいのフリーランス。ライフスタイルとしての仏教好き。
    Twitter IDは[ @gatabutsu ]。新潟の仏像話を中心につぶやき中。
    Facebookでは、記事にする前のメモ書きや、美術館・博物館などもうちょい広い話題でやってます。

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