GATABUTSU

三条市で行われた仏像講演会に出掛けてきました

投稿日 2011年3月06日 日曜日

コメント コメント(0)

カテゴリイベント情報など

タグ | | | | |

index20110306

三条市の下田公民館でおこなわれた平成22年度文化財講演会「新指定の仏像をめぐって~本都寺阿弥陀如来立像と最明寺千手観音菩薩坐像~」にでかけてきました。
講演会を知った”ケンオー・ドットコム”さんのサイトでは、”仏像女子も必見”とのタイトルがつけられていましたが、会場は随分とお年を召した”仏像女子”、”仏像男子”の皆さんであふれかえっていました。
結局、120名ほどの参加者だったようです。

Photo 3月 06, 11 07 32

事前にこのサイト上で講演会のお知らせもコメントしていただいていたので、写真撮影の確認の意味も含めて主催者さんにご挨拶したら、文化財係長さんから名刺をいただきました。なんか嬉しかったです。

講師は愛知県立芸術大学の熊田由美子教授。水野敬三郎先生に師事されていたようで、僕も持ってる先生の著作「日本仏像史」の紹介もしていました。また、熊田先生のお名前でググったら、仏像ガールさんのサイトで著書を紹介されていました。
http://www.buddha-girl.com/books/2009/02/post_12.html
僕も買おうかな。

三条市では昨年、下田地区のお寺が安置している2体の仏像「本都寺の阿弥陀如来立像」と「最明寺の千手観音菩薩坐像」を新たに市指定の文化財に指定されたそうなのですが、その2体の仏像についての学術調査をおこなった結果を元にお話をされていました。

本都寺の阿弥陀如来立像

寛政12年(1800)に再建された本都寺本堂の壇上厨子内に安置される本尊で、像高96.2cm、いわゆる三尺立像の阿弥陀如来。
(※小で72cm、中で82cm、大で98cm前後とこのあたりの大きさの像高はだいたい三尺立像と呼ぶそうです。)
檜寄木造りで漆箔仕上げ。来迎印。厨子には脇侍として観音・勢至菩薩が描かれる。鎌倉時代13世紀半ばから第三四半紀までの作で、仏師快成の影響が強くみられます。光背、台座は後世のもの。
肉髻珠は周縁に蓮弁があり珍しい表現。玉眼入りですが、目が細くて最初は玉眼とわからなかったよう。

保存状態はかなり良く、背中の衣が柔らかく流れる感じはいかにも鎌倉的で見事な表現。ご住職は60年勤めてこられたそうですが、調査の際に初めて背中をご覧になられたようです。

Photo 3月 06, 11 08 09

仏像 阿弥陀如来立像 (市指定文化財)
場所 新潟県三条市飯田2208
問い合わせ先 三条市 市民部 生涯学習課 文化財係 (TEL:0256-34-5511 内線245)
拝観時間 未確認
拝観期間 未確認
拝観料 未確認
公式サイト なし

[googlemap lat=”37.576037″ lng=”139.046239″ align=”center” width=”545px” height=”300px” zoom=”12″ type=”G_NORMAL_MAP”]新潟県三条市飯田2208[/googlemap]

最明寺の千手観音坐像

最明寺本堂の北西にある観音堂(明治30年建立)壇上厨子内に安置される千手観音。頭頂の仏面以下四段に30の変化面をつける四十二臂形式の像で、針葉樹材(杉とみられているようです)の一木造。漆箔や彩色なしの素木(しらき)仕上げで、像高は116.5cm。面相部や上体部に後世の削りなおしが多い。光背なし。台座後補。

通常であればひっくり返したりして調査するのだが、今回は台座が壊れそうで厨子から下ろすことができず、厨子に上がって調査したそうです。
鎌倉時代前期の作と考えられるが、平安仏の趣を強く残しており、元々はこの像の元となる古像があり、その復刻像ではないかとのこと。頭頂面の殆どは菩薩面で、その顔がどことなく円空仏のような顔立ちでした。

この仏像は毎年2月18日及び8月9日のみの御開帳です。

Photo 3月 06, 11 08 22

仏像 千手観音菩薩坐像(市指定文化財)
場所 新潟県三条市院内193
問い合わせ先 三条市 市民部 生涯学習課 文化財係 (TEL:0256-34-5511 内線245)
拝観時間 ご開帳の日は午前10時から千手観音開帳護摩法要
拝観期間 毎年2月18日及び8月9日のみの御開帳
拝観料 未確認(寸志)
公式サイト なし

[googlemap lat=”37.544141″ lng=”139.112682″ align=”undefined” width=”545px” height=”300px” zoom=”12″ type=”G_NORMAL_MAP”]新潟県三条市院内193[/googlemap]

熊田教授は卵が先か鶏が先か...とにかく仏像大好きオーラが全開で、講演の内容はとっても濃く、そしてハイスピード。制作年代を判定する際の材料となった他の寺院の仏像の写真と、今回の仏像とを写真で比較などしてお話をされていたのですが、私なんかは、「あ~あそこの仏像はいいよね~」とか「あ~この仏像知らないわ。今度調べてみよ~」なんて考えているうちにどんどんと話が進んでしまい、ついていくのにやっとでした。

印象に残ったところとしては、仏像を見るときに「背中」というものが重要だと言われていたこと。本都寺の阿弥陀さんは、背中が見事で柔らかく衣が流れる感じが、いかにも鎌倉的だったとのことです。背中には時代の特徴もよくでていて、一見”鎌倉”と思わせておいて、背中をみると実は違うというものも結構あるそうです。

また、当日は来場者をモデルにして仏像の着衣の実演もおこなわれました。この着衣の表現方法も仏像を判別する際の重要なポイントだとか。

Photo 3月 06, 11 07 54

どちらの仏像もまだ実物にお会いしたことがないので、タイミングを見計らって訪れてみようと思います。

2011.2.27

関連リンク

コメントを残していただけると、読者の反応の改善に役立ちます。自由にコメントしていただいて構いませんが、スパム行為や他人を貶める誹謗中傷などはご遠慮ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

Loading