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正月だけど稲刈り仁王とか

投稿日 2011年1月04日 火曜日

コメント コメント(4)

カテゴリ中越地区の仏像, 木喰

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index20110104

新年明けましておめでとうございます。今年もガタブツをよろしくお願いいたします。

地元のコミュニティFM「FM Port」が好きでよく聴いているのですが、そのFM Port内の番組『遠藤麻理のライフステーション』で、新年そうそうナイスな企画がありました。
仏像文化財修復工房の松岡さんをゲストに迎えて、仏像修復や文化財保護にまつわるお話などを2回に分けて放送とのことです。

今回は、柏崎大泉寺の仁王像修復を中心にお話をされていました。

この仁王像、2007年の中越沖地震で損傷し修復をおこなっていたのですが、昨年秋にその修復も終り、お寺に帰ってきたそうなのです。
新聞記事でこの話しを見て 行こう行こう と思ったまま、昨年は年が開けてしまいました。

今日は元旦。

初詣も初見仏もノープランだった私は、折角なので柏崎まででかけてきました。

修復が完了したのは阿形像のみ。像高は2.8mで重さは467Kg。カツラの一木造。室町時代後期に作られたものと推定され、江戸時代後期の1789年に修復をおこなった書き込みも見つかったことから、本格的な修理は約220年ぶりとのこと。ラジオの放送では「塗りなおしなどの細かい修理は、その後も何回か行われた形跡があった」と言われていました。

この仁王様は地元では『おしみずのおんにょさん』と呼ばれており、稲刈り仁王という伝説も伝わっているそうです。

asahi.com : 中越沖地震で傷んだ柏崎・大泉寺の仁王像、修復終え帰還 – マイタウン新潟
地元で「おんにょさん」と親しみを込めて呼ばれてきた仁王像。「稲刈り仁王」の伝説によると、その昔、大清水観音の地元信者が稲刈り前に病気にかかって困っていると「観音に頼まれた」という仁王2人がやってきた。仁王たちは稲刈りを済ませ、お礼に渡された稲を担いで帰ったが、途中で貧しい家々に配ったため観音様に渡す分がなくなってしまった。観音様はそのことを大層褒めたという。

山門

雪のためか修復のためかはわかりませんが、 仁王門は青い網で覆われており、また新潟の冬特有の曇天のために離れた位置から仁王の全体像を見ることはできず。
必然的に薄暗い山門の中で真下から眺める大きな仁王は、迫力たっぷりでした。

仁王 阿形

仁王 阿形

仁王 阿形

乳首凄い。

ラジオによると、肩の周りはだいぶ改造されて筋肉が付け加えられていたり、手の向きなども変えられていたそうなのですが、今回の修復でそれも本来の姿に戻したようです。また、後から塗られた色も取り除き本来の色に戻したとか。
...目玉は塗られていないようなのですが、こういうときは塗らないものなんでしょうか?どうなんでしょう?

仁王像 阿形 修復の資料写真

修復が完了したのは阿形だけで、吽形はこれから寄付を募って修復をおこなうようです。
阿形は倒れないように首にコルセットをハメられ、レバーブロックで天井の梁に固定されていました。ムチ打ち&足は骨折中で、まるで交通事故にでもあったようです...

仁王 吽形の顔 ムチ打ち中

仁王 吽形の足 骨折中

痛々しい...

早く元気な姿になってほしいものですね。

この仁王には『稲刈り仁王』とは別の言い伝えもあり、体でどこか痛いところがある時、口の中でかんだ紙を仁王像の同じ場所に投げつけ、くっつくと痛みがやわらぐそうです。津南の見玉不動尊の仁王様と同じような言い伝えですね。

紙を投げないでください

今は、紙を投げつけるのは禁止のようです。(笑)

観音堂は国指定の重要文化財。
中には、千手観音と多聞天と不動明王。ご本尊の千手は秘仏で、御前立のみ見ることができます。
千手観音は県指定文化財。像高56cmほどの銅造で、鎌倉時代のものと推定されるそうです。

観音堂の千手観音御前立

脇侍の増長天(でいいのかな?)も中々かっこ良いです。

観音堂の(多分)増長天

お庭には木喰堂があり、その中には子安地蔵が。この木喰堂は最近建て替えられたようで、建て替え前の古いお堂には、木喰上人自筆自刻の和歌が刻まれた木額が飾ってありました。掛け軸などは多く残っているが、木喰さんの木額は少なく貴重なものだそうです。現在は、風化を防ぐために大泉寺内で保管されています。

子安地蔵

子安地蔵はイチョウの立木に直接彫られたそうで、後年、仏像のみえぐりとられ木喰堂に安置されたそうです。木喰堂のすぐ後ろにある木に、その痕跡を見ることができます。

「この子安地蔵、顔が他の木喰さんのものとは違うような気がするんだけど、違う木喰さんなのかなー?眉毛とか目に墨が入ってるから印象が違うのかな?他の木喰仏のような優しい感じじゃないんだけど...僕の知ってる木喰さんはこんなに怖い顔じゃないよ~ガチブルガチブル」などとスッキリしないまま帰宅したのですが、ネットでいろいろ調べたところ、やはり明治ごろに顔だけ彫り変えられているようでした。

木喰仏に会いたい!!~大泉寺~ : スタッフブログ – 旅ナビ柏崎
この子安地蔵は明治のころ、お顔が改刻されています。
こうしてみると、安住寺の三十三観音や坂ノ机立観音堂の十二観音など、手を加えられた木喰仏は多いのですね。

次のFM Port『遠藤麻理のライフステーション』は1月8日の11時45分から。次回の放送では、松岡さんの文化財保護などに対する考えや、自身がおこなわれている活動についての内容になるようです。
年末に私も松岡さんが主催されている仏像文化財保存サポート 地域歴史文化財保存支援に入会してみました。
 
次回の放送も楽しみです。

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“正月だけど稲刈り仁王とか” への4件のフィードバック

  1. とおる より:

    あけましておめでとうございます!
    今年もよろしくお願いします♪

    ついに「マツクエ」スタートですね。
    今後、ますます深いお話が聞けそうで、楽しみです。

    痛々しい姿の地方仏・・・・。
    その姿を見る度、そしてそれを修復しようにも経済的にどうにもならない・・・というお話を聞く度に、
    「その仕分け全部『廃止』にして、こっちに回してあげて!」
    と叫びたい衝動にかられます。
    地方の文化を活性化させるには、ハコモノよりも仏像・・・と個人的には思うのですが、そうも行かないんでしょうね・・・・うぐぅ。

    ・・・そして、仁王さまの足元の「のどごし生」が、すげー気になります。

  2. gatabutsu より:

    >とおるさん

    >地方の文化を活性化させるには、ハコモノよりも仏像・・・と個人的には思うのですが、そうも行かないんでしょうね・・・・うぐぅ。

    僕もそう思うんすけどね。大都市の文化に右倣えじゃなくって、地方地方によって築いてきた文化を誇りを持って大切にすることで、いろいろな特色のある楽しい日本になれるんじゃないかと。
    ここ数年、地方ブームみたいになっているところもありますし、意識も変わってきている部分もあるとは思いますけどねw(僕も地元の仏像を見始めたのは、2年前からですしw)

    同じ時間帯に家族連れがお参りに来てたんですが、お父さんらしき人が「この仁王の修理、うちの寄付も少し入ってるんだよー」と奥さんだかお子さんに話しをしてました。新年そうそう、ほのぼのとしたいい光景を見れた気がします。

  3. さとこ より:

    はじめまして&明けましておめでとうございます。
    柏崎で車いすタクシーの運転手をしています、さとこと申します。
    ガタブツ、去年10月頃に知ってこっそりみてました。
    見仏記を彷彿とさせる観察眼、仏にかける愛、そして力の抜け具合、たまりません。
    今日、地元の仁王とかを読んで会社で大笑いしてしまったため、こっそりではなくなりました。
    新年早々いろんな意味でカミングアウトです。
    これからもよろしくお願いします。

  4. gatabutsu より:

    >さとこさん
    はじめまして明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
    大笑いしていただけたとは、嬉しいです(笑)
    これからはこっそりではなく、ぜひぜひ堂々とガタブツを読んでニコニコしてくださいw
    こっそりはノンノンです。

    柏崎が地元なんですね。柏崎には木喰さんをはじめ、いろいろ素敵な仏像があるそうなんですが、まだあまりまわることができていないんですよね。今年はいろいろそちらにおじゃまするかもしれません。
    何か面白い情報あったら教えてください!

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