GATABUTSU

元三大師鬼モード

投稿日 2010年11月24日 水曜日

コメント コメント(6)

カテゴリ中越地区の仏像

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 先日、仏像好き仲間とお酒を飲んだときに、元三大師という昔のお坊さんの名前が出てきました。
 その時点ではあまり詳しくはなかったのですが、何か心に引っかかるものがあったのです。

 そしてこの間、夜眠れずに2006年に開催された「新潟の仏像展」の図録をペラペラとめくっていたら、1枚の小さな写真に目が留まったのです。

 加茂市雙璧寺(双璧寺)の元三大師。

 巡り合わせとかってこういうことをいうんですね。それか、なんとか効果(ほら、朝から「赤・赤っ!」とか思ってると赤い車やら、赤いポストやら、ロボット8ちゃんに目が留まってしまう”なんとか”です)。

 で、さっそく休みの日を待って、見に行くことにしました。

 元三大師は本来の名前を良源というお坊さんなのですが、亡くなった日が1月3日=元三なので、元三大師と呼ばれるようになったそうです。元三大師には伝説化された不思議な話があり、元三大師の他にも角大師や豆大師、降魔大師、魔除大師など様々な呼び名があります。この良源というお坊さん、鬼の姿に変化して疫病神を追い払ったという伝説があり、このときのお話から「角大師」という呼び名が生まれたようです。2本の角をもち、骨と皮とに痩せさらばえた鬼の像を表わした絵は、魔除けの護符として、今でも比叡山の麓の坂本や京都の民家に貼られているとのこと。

 ”おみくじ”をつくったのも、この元三大師だそうですね。

 こちらのお寺の元三大師、元々は一般の方が古物商から買い取り蔵に入れておいたところ、あまりにも怖かったためにこのお寺に寄進されたというものらしい。寺伝では、奈良の白毫寺伝来らしいのですが、大学の先生が調べたりX線あてたりしても、断定はできなかったらしい。鎌倉時代に修理した銘文はあったそうですが。

元三大師鬼モード

元三大師鬼モード

 元三大師の仏像、僧侶の形をしたものが多いそうなので、こういった鬼モード「角大師」の形態は非常に珍しいとのこと。前述のように、出所不明な部分もあり「”伝”元三大師」となっているそうなのですが、本当に奈良の白毫寺伝来な元三大師だと判明したら、その形状の珍しさからも国宝級なのではないかとご住職もおっしゃっていました。

 結構、破損も酷く進んでいるのですが、市指定文化財では修復費用もでないとのこと。もっと文化財保護にも理解をしめしていただきたいところです。

 針のように鋭く尖った髭は、比類無き剛毛で 首振りヘッドに3枚歯の電気シェーバーでも太刀打ちできないでしょう。竹ひごを細く尖らせて突き刺してあるそうです。また、一般的な元三大師は独鈷杵(とっこしょ、仏具の一種)を持っているようですが、こちらの元三大師は三鈷杵(さんこしょ)で、おまけにそこから剣がのびています。おそらく、フォースが実体化したものかと。

元三大師鬼モード

元三大師の持つ三鈷杵

 本堂には持国天と多聞天の二天。こちらも鎌倉時代の作。
 多聞天に踏まれている邪鬼さんは、頬にたて肘をつき、どことなくアンニュイな雰囲気を醸しだしていました。

持国天

多聞天

多聞天に踏まれてる邪鬼

 お参りをしていましたら、『仏像が好きなら、只見のマスオカさんを尋ねるが良い』と、ご住職に言われました。なにやら突然始まったドラクエですが、私、結構メモを取り忘れたり、詳細を聞き逃してしまったりするタチなので、このマスオカさんは謎のキャラとなってしまいました。どうしよう、「すいもんの鍵」を持っている人だったら...

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“元三大師鬼モード” への6件のフィードバック

  1. momococks より:

    こんにちは。
    いつもTwitterでお世話になってます。
    ガタブツさんのBlog面白いですねww

    東北地方のお寺は未訪なのですごく興味があります。カワイイ四天王さんですね。わたしもマスオカさん気になりますw

  2. gatabutsu より:

    桃さん!こちらこそ、お世話になってますー!
    マスオカさん、気になりますよね~。仏像の修理などをされているかたのような気がするのですが、そのあたりの話すら、思い出せない...w

    面白いとか言ってもらえると、マジ嬉しいです。なんか、はげみになります!
    あと、新潟は 北陸地方 か 甲信越地方 です(キリッ ← まだ、かなり曖昧

  3. とおる より:

    マスオカさん・・! 気になります!

    マスオカ・クエストの旅に出る際には、ぜひパーティに加えて頂きたいです。
    ルイーダの酒場で毎晩呑んだくれてる、メンタル的に吟遊詩人なキャラが私ですので・・・。

    それにしても、この邪鬼さんは素晴らしいですねぇ。
    こういう「オレは踏まれてるんじゃなくて、踏ませてやってるんだぜ」って表情の邪鬼は大好きです!

  4. gatabutsu より:

    >とおるさん
    マスオカ・クエスト、宜しくお願いいたします!(笑)
    当方、遊び人キャラですので、行く先々で「お酒飲めないっすかね~」とか言いだしますが・・・

    邪鬼さん、いいオーラを放っていました。
    お参りをしていて、ふと多聞天の足下を見たら「やれやれ、ようやく俺に気づいたか...しっかり、おがんどけよ~」と・・・いわんばかりに、こちらへの視線が。

  5. nagnag より:

    通りがかりの者です。突然にすみません。

    たぶんご住職がおっしゃったのは
    「只見のマスオカさん」ではなくて、「田上の松岡さん」では?
    「仏像文化財修復工房」を立ち上げていらっしゃる方で、
    ホームページもありますよ・・・

  6. gatabutsu より:

    >nagnag様
    おぉーーーっ!まさか、こんなところでマスオカクエストのヒントをいただけるとは...というか、答え(笑
    私、地名も名前も聞き間違えていたんですね。今度からしっかりメモ帳を握りしめておこうと思います。

    サイトはこちらですね。ありがとうございます。読ませていただこうと思います。
    仏像文化財修復工房
    http://www.h7.dion.ne.jp/~butsuzou/

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