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整形された木喰さんに会いに安住寺へ

投稿日 2010年6月24日 木曜日

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カテゴリ中越地区の仏像, 木喰

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 近代美術館での仏像展に出かけた際、木喰仏マップなるものを入手しました。去年の石川雲蝶に続き、今年の新潟仏像部門では、木喰を大プッシュするようです。

 新潟の見仏を始めてから、随分といろいろなところで木喰仏をみたような気になっていましたが、さすが全国随一の木喰仏産地、新潟。まだまだ訪れていないところが沢山あります。

 今回は、柏崎市の山あいにある安住寺を訪ねることにしました。なんでも、こちらに祀られているのは顔を整形されてしまった木喰仏とのこと。

 木喰仏の特徴と言えば、丸みのある体つきとその特徴的な微笑み。
 その微笑みの顔が整形されたってのは、どういうことなのかということです。

 心境としては、小学校のころ大好きだった女の子に、中年になってからの同窓会で久々にあうようなものなのですよ。
 嗚呼、あの娘がもし盆暮れパーマ当てていたら、私はいったいどんな顔して昔話に花を咲かせればいいんだろう。どこに目線を置けばいいんでしょう。もし、可愛らしかったあの娘が、アゲ嬢盛りヘアな菩薩ヘアになっていたら。いや、菩薩ヘアならそれはそれでよいかもしれませんが。いや、それにしたって清楚だったあの娘が、盛りヘアってのはどういうことなのですか、嗚呼どうしましょう。

 そんなことを考えながら車を走らせました。道路をフツーにリスが走っています。初恋の娘に逢いに行く私のドキドキ感はよそに、空気はどこまでものんびりしているのです。

 そうそう、私は最近、寝癖のことを無造作ヘアって言い張ることができるようになってきましたよ。無精髭は男らしさの象徴です。

 辿りついた安住寺は、これまたのんびりとした素敵な雰囲気のお寺。参道の苔生した石仏が、ゆったりとした時間の流れを感じさせてくれます。

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 奥様に礼拝堂に案内していただき、木喰上人三十三観音とご対面しました。
 つまりこれは脳内では同級会が始まったというわけでして、私としてはもうドキドキなのです。あぁぁぁ(声が上ずっている感じ。)

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 みんなはもう勢ぞろいして、飲み始めていました。

 恐れていたとおり、そう、そこにいた木喰仏は、私が知っている木喰さんの顔とは違ったものでした。
 嗚呼、悲しみの同級会。私が好きだった32人の女の子は、みんな盆暮れパーマを当ててしまっていたようです。
 嗚呼、効率重視。そして、恋多き小学生な私。

整形された木喰仏

 こちらの三十三観音は、1躰の馬頭観音を残してみんな顔だけ作り替えられているそうなのです。
 奥様のお話では、いつごろなのか、誰がやったのかはわからないが、体はそのままに顔だけ削り取られて、新しい顔が彫られてしまったとのこと。木喰仏は、最近でこそその価値が見直されてきたものの、作成された江戸時代から随分と長い間、仏像としてはかなり異色の存在でした。そのため、この寺を訪れたおせっかいな仏師が、「仏像らしい顔に作り直してやろう」とでも言って、作り替えてしまったのではないかということです。なぜ、馬頭観音1躰だけ無事だったのかもさっぱりわからないらしい。

整形を逃れた木喰仏

 整形された薄っぺらな顔と違い、こちらの馬頭さんは木喰らしさ満点の深みのある顔。怒った顔であるにも関わらず、なんともいえない優しさも同時に漂ってきます。

 このお寺の木喰仏は、木喰上人が87歳のときに作られたもの。かなり晩年の作。そして、87歳という高齢にも関わらず33躰の観音様を一ヶ月で彫り上げたそうです。木喰さんは、自分が仏像を彫っているところを見られるのが嫌いだったらしく、みんなが寝静まってから仏像を彫っていたそうですね。鶴だ、鶴。恩返しする鶴だ。
 そんなお話をしていたら、奥様、おもむろに1躰の木喰さんをむんずとつかみ、背中を見せてくれました。

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 背中には、この仏像が如意輪観音であることや、87歳のときに彫ったということなどが書かれています。ここにあるすべての仏像の背中を見て、どれくらいの期間で作成したのかなどを調べたとのこと。木喰仏は、この背中の銘文も美しいんですよね。

 この近辺は、棚田の風景などもとても綺麗で、この日はちょうど 新潟ソーシャルメディア倶楽部のみなさんが、フォトウォークということで写真撮影に訪れていたようです。
 撮影現場に遭遇するかもしれないなと思い、じょんのび村という施設によって息子のオムツを替えたりなんぞしていたのですが、残念ながらタイミングが合わなかったらしく、撮影現場には出くわすことはできませんでした。

 代わりといってはなんですが、ドクタースランプ的なベンチを発見。

ドクタースランプ的ベンチ

 たぶん、これはなにかのロボットで、ドクターマシリトあたりがこのベンチに座ると、うちわをもって動き出すのだと思います。

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    新潟に限らず地方の仏像を見て回っていると、宗教や美術品という見方とは一線を隠した独特の"信仰"という感覚を感じることがあります。
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    数ある仏像関連書籍の中で、一番好きな本です。

    • 見仏記〈2〉仏友篇 (角川文庫)
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    仏像鑑賞本の定番、みうらじゅん氏といとうせいこう氏の見仏記第二弾です。
    当たり前だけど、仏像って宗教に密接に関わってるし、お作法とかも難しそうで敷居が高そう...と思っている人は、是非、この本を読んでみてください。そしてこの二人の、一見ふざけた仏像鑑賞の旅の裏に流れている仏像への愛がわかるようになったら、仏像を「見る」と言うことにも抵抗がなくなるかもしれません。

    新潟のお寺からは、宝伝寺、明静院、西照寺、長安寺、長谷寺、国分寺、昭和殿、慶宮寺がエントリーしています。

  • 書いている人

    1

    やまざき ふみひろ

    フリーランス仏像愛好家。仏像についてひとことも喋らなくても、誰も困らないくらいのフリーランス。ライフスタイルとしての仏教好き。
    Twitter IDは[ @gatabutsu ]。新潟の仏像話を中心につぶやき中。
    Facebookでは、記事にする前のメモ書きや、美術館・博物館などもうちょい広い話題でやってます。

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