GATABUTSU

町田の閻魔堂

投稿日 2010年3月28日 日曜日

コメント コメント(0)

カテゴリ上越地区の仏像

タグ | | |

 地獄というやつは、見仏の旅の中でもなかなかの異色スポットだと思います。

 お釈迦様や大日如来、薬師如来なんかが祀られているごくごく一般的なお堂も、それぞれ仏教を前提としたストーリーが背景に漂っています。東寺の立体曼荼羅しかり、新薬師寺の薬師と十二神将しかり。
 しかし、そのストーリー性が地獄ではより強く出ていると思うのです。

 それは、「良い事をしていると仏様が救ってくれますよ」という教えよりも、「てめぇ、ちっとでも悪いことしたら地獄に堕ちて、ひでぇ目にあうんだぜ!」って教えのほうがより直接的でわかりやすかったからかもなのかもしれません。

 上越方面に面白い地獄があるというので行ってきました。

看板

 吉川区は町田の閻魔堂。

 看板どおりに道を曲がると建物がどんどん少なくなり、最終的には貯水池にブチ当たりました。田舎特有の迷い道地獄です。

 気を取り直して近くの民家に場所を訪ねると、少し手前の交差点で曲がらなければならなかったようです。

 辿りついた閻魔堂は、重そうな扉で閉ざされていました。

SANY0282

 御住職らしきお家を訪ね閻魔堂について尋ねると、扉は重いけれども開けてはあるので自由に見て行っていいとのことです。

 ガラッ)自由と聞いて!

 てな具合に扉を開けると、正面では早速閻魔様がこちらを睨んでいました。(実際にはガラッどころか、ズズッズズズッズッズッふぅって感じでしたが)

SANY0271

 この閻魔堂は閻魔市で有名な柏崎の閻魔堂、五智国分寺の閻魔堂(現在は焼失)と並んで新潟の三大閻魔と呼ばれて大変有名だったとのこと。閻魔像は何回か修理がおこなわれていて、新しくは明治37年に塗り替えがおこなわれたようです。肩の張り具合や、胸・下腹部の膨らみなんかの像の作風から見て室町時代初期の作品と考えられていて、その他の像についても同じ時代のものであると言われているそうです。

 このお堂には閻魔像だけでなく、奪衣婆(だつえば)と初江王(しょこうおう)、地蔵菩薩の4体の像が祀られています。また、地獄ジオラマとして重要なのがその地獄アイテムです。ここには、「浄玻璃(じょうはり)」という嘘発見器的な鏡や、罪の重さを量る「業の量り(ごうのはかり)」や、「人頭杖」という罪悪判定装置まで揃っていて、なかなかの充実っぷりです。

 やばいです。死んで地獄に堕ちたと思ったら、この奪衣婆のお出向かえ。ヤバイです。現代のように情報量の多くない室町時代。この奪衣婆を見せられて、地獄に落ちたらこの婆さんの餌食と教え込まれた日には、悔い改めようって気分にもなるってもんです。

奪衣婆(歯かけで貧乳)

 多分、地獄でこの婆さんみて笑ったら、さらなる地獄行きなんでしょう。

 こちらは人頭杖。秋葉区の普談寺ではじめて人頭杖をみたときには、なんのことやら意味がわからず、武将の生首くらいに思っていました。なんでも、この人頭杖まで揃っているお寺は、地獄ジオラマとしてはかなりのハイレベルらしいですね。

人頭杖

 この閻魔堂、堂内に貼ってあった張り紙を見る限り、年に一回くらい町内でお祭りがおこなわれているようですね。そのお祭りのときに使う道具の倉庫にもなっていました。

カサカサビューン

 カサカサ、ビューン。地獄の中の癒しです。

コメントを残していただけると、読者の反応の改善に役立ちます。自由にコメントしていただいて構いませんが、スパム行為や他人を貶める誹謗中傷などはご遠慮ください。

コメントは受け付けていません。

Loading
  • カテゴリー

  • 最近の投稿

  • おすすめ

    • へんな仏像
    • 本田 不二雄
    Image of へんな仏像

    「頭の中でどうにも収まりのつかないものとの出逢いは、困惑をもたらすものでしかないが、同時に、沸き立つような好奇心を刺激する存在である。」(まえがきより)

    私が仏像にハマったキッカケとも言える感情を、まえがきの一文で見事に表現しています。
    本書は、日本全国にちらばる異形の仏像・神像を中心に約60体を紹介。仏像を求めてあちこちに出かけていくと、時折、理屈ではわからないおかしな仏像に出会うことがあります。そんなとき思う。「これは何を意味しているんだ?どうしてここにいるんだ?」と。不思議なものがそこにあり、そしてそれを長い年月の間、受け継いできた人々がいる。その時代の流れに少し触れられることが楽しい。そんな見仏のモチベーションを掻き立ててくれる写真が沢山掲載されています。

    新潟からは加茂市双璧寺の元三大師坐像と、栃尾のほだれ大神がエントリー。
    「国宝・重文の仏像に言葉はいらないが、異相の神仏像には理由がある。」(あとがきより)

    • 大仏をめぐろう
    • 坂原 弘康
    Image of 大仏をめぐろう

    全国各地の大仏・大観音70体をカラー写真と詳細なデータで紹介。奈良・鎌倉をはじめとした歴史ある大仏から、「胎内めぐり」ができる大仏・大観音、地元住民に愛される「ご当地大仏」まで、著者が30年にわたり全国の大仏を訪問し気づいた、お寺めぐり、仏像めぐりの新しい楽しみを提案。
    新潟からは越後の里 親鸞聖人,弘願寺弘法大師像,白馬大仏がエントリー。

    • 壊れても仏像―文化財修復のはなし
    • 飯泉 太子宗
    Image of 壊れても仏像―文化財修復のはなし

    仏像修復をおこなっている飯泉太子宗氏の仏像修復に関するエッセイ。
    今、仏像に関する書籍は数多く出版されていますが、この本のような視点から書かれた本はあまり多くなく、いくつかのお寺を訪ねて仏像を見て回ったあとは、ぜひこの本を読んでみることをおすすめします。

    新潟に限らず地方の仏像を見て回っていると、宗教や美術品という見方とは一線を隠した独特の"信仰"という感覚を感じることがあります。
    仏像はその土地に昔から住んでいた人を繋いでいる、リレーのバトンだと思うんですが、それがこの本を読むとスッと入ってくる。
    数ある仏像関連書籍の中で、一番好きな本です。

    • 般若心経絵本
    • 諸橋 精光
    Image of 般若心経絵本

    絵本作家でもある長岡市にある千蔵院のご住職、諸橋精光氏の著書。
    タイトルのとおり般若心経を概念を絵本の世界で表していて読みやすく、その世界観をうまく表しているという実感があります。絵を見ながら般若心経の文字を読んでいるとスッと心が落ち着く瞬間があり、何度も読み直しました。

    • 見仏記〈2〉仏友篇 (角川文庫)
    • いとう せいこう, みうら じゅん
    Image of 見仏記〈2〉仏友篇 (角川文庫)

    仏像鑑賞本の定番、みうらじゅん氏といとうせいこう氏の見仏記第二弾です。
    当たり前だけど、仏像って宗教に密接に関わってるし、お作法とかも難しそうで敷居が高そう...と思っている人は、是非、この本を読んでみてください。そしてこの二人の、一見ふざけた仏像鑑賞の旅の裏に流れている仏像への愛がわかるようになったら、仏像を「見る」と言うことにも抵抗がなくなるかもしれません。

    新潟のお寺からは、宝伝寺、明静院、西照寺、長安寺、長谷寺、国分寺、昭和殿、慶宮寺がエントリーしています。

  • 書いている人

    1

    やまざき ふみひろ

    フリーランス仏像愛好家。仏像についてひとことも喋らなくても、誰も困らないくらいのフリーランス。ライフスタイルとしての仏教好き。
    Twitter IDは[ @gatabutsu ]。新潟の仏像話を中心につぶやき中。
    Facebookでは、記事にする前のメモ書きや、美術館・博物館などもうちょい広い話題でやってます。

    mail
  • Meta

  • Facebook

  • ガタブツ